セブン-イレブンでドーナツを始めるそうです。そんでミスドとの比較画像とかも出てた。ブコメも読んでみた。

 で、この件に関して思うことなんかを書いてみる。
 最大のポイントは「ミスドに行く人はドーナツを食べるか買うかすることが目的だが、セブン-イレブンに行く人は別の目的があって、ついでにドーナツを買う」ということ。
 以下、セブンが全店導入を完了した状態を前提として書く。
 現在の「ドーナツ」という商材の立ち位置だが、これ、実質ミスドの独占市場である。そんでミスドの店舗数は1350店舗だそうだ。ウィキペによる。ミスドの平均的な客数がどれほどかは知らないが、そうなると、すべての消費者のうちミスドを日常的に利用する人はそこまで多くないことになる。まあ実際のところ、多くの人にとって日常的な食いものではないだろう。ここんとこほんとはイートインと持ち帰りの比率なんかも数字があれば説得力があるんだが、自分の考えを記すだけなら特に必要はない。俺が言いたいのは、要はドーナツってのは1週間に一度も食べる機会があればめっちゃ多いほうで、通常は月に一度、あるいはもっとランダムな感じだろうってことだ。なぜそうなってるかといえば、人には「ドーナツを食いたい」という以外にミスドに行く積極的な理由があまりないからだ。まあ常連と呼ばれる人は、たとえばオールドファッション1個にコーヒー一杯でひと息ついて、みたいな使いかたもするだろうが、全消費者からすれば依然その比率は小さい。
 つまりだな、日本国民に対しての比率でいえば、ドーナツってのはさほど重要な商材ではない、ということだ。嗜好性が高い商材だともいえる。あるいは消費者に対して露出の度合いが低いともいえるか。もっともドーナツを食いたいという衝動を覚える人はけっこう多いだろう。そこはミスドの功績なわけだが、実際に買いに行くとなると敷居は高い。店舗数がそれほど多くないのもそうだし、なにかのついででもない限り「わざわざドーナツのために」ミスドまで行く人はそう多くはないからだ。

 かたやセブンである。セブンに行く人の数は多い。店舗数14000くらい、平均的な客数が仮に1000人だと考えても、とんでもない数字である。この数字が意味することは「潜在的なドーナツ需要を根こそぎ発掘してしまう」ということにある。全消費者に対しての露出の度合いがミスドの場合とは完全にケタが違っているということだ。ましてコンビニはドーナツを目的にしなくても行く目的はいろいろある。
 もともとコンビニってのは商圏の狭さが特徴だ。狭い商圏で成り立つということは、逆にいえば、消費者が金を使う機会のかなりの部分をコンビニが担えるということでもある。遠くのスーパーより近くのコンビニってことである。コンビニの「コンビニエンス」の部分は、依然としてその近さにもある。まして店舗数はさらに増えてるわけだしねえ。
 で、どういうことが起こるかというと、なにかほかの目的でセブンに行った人が「ついでに」ドーナツを買ってしまうということになる。それらの人々のほとんどは日常的にはミスドでは食わない。ということはだ。時間が経過すれば、ドーナツのスタンダードがミスドからセブンになってしまう可能性がある。遠くのミスドより近くのセブンということだ。
 よほど価格や品質に決定的な差があれば話は別だ。しかし100円って価格を考慮に入れれば「そこそこの品質」で成立する可能性は高い。
 具体的な数字は導けないのだが、店舗数と客数がわかれば、ドーナツの現物の、消費者への露出の度合いというのは計算できる。そしてその計算結果は、おそらくミスドにとって絶望的なものだろう。

 セブンの鈴木なんちゃらって人の基本的な信念は「需要に応じて商品を提供するのではない。客の潜在的な欲望を察知し、商品を提供することで需要を喚起する」というものだ。実際にそうやってセブンは多くの商材を開発してきた。米飯しかり、おでんしかり。
 ドーナツって商材がどれほど人の日常生活に食い込めるかはわからない。このレベルの話になってくると「週に何回食って飽きないか」というのが問題になってくる。なんとなくドーナツ的なものが食べたいという衝動みたいなものを、店舗数というメリットを活用して根こそぎ奪っていく。それがセブンというものの恐ろしさだ。ついでにいうと、セブンは他チェーンが追随することをまったく恐れない。なぜなら、ローソンやファミマが追随したなら「コンビニでドーナツを買う」という習慣はより根づくからだ。
 食習慣はそれを提供する側が決める部分がある。マックがなければハンバーガーという食品はあそこまでメジャーなものになったのか。作るだけなら簡単に作れるものであるにもかかわらず、家庭でハンバーガーが作られることは珍しい。牛丼も同様である。ドーナツとの違いは食事になりうるかどうかで、食事としては成立しがたいからこそ、牛丼やラーメンのように「それのみ」を扱う業態では急速な拡大が難しい。
 なら、コンビニが「ついで」として扱うなら?
 むしろ、これは正解なのではないか、という気がしてならない。

 あと余談になるけど、こう考えるとスタバの「利用すること自体がステータスになりうる」という戦略、チェーンイメージの構築は生存のための最適な戦略といえるのだろう。俺ああいうのほんと嫌いなんだけど、その点ではすごいというほかないよな。