なんと申しますか仕事でストレスの蓄積する日々です。
 で、先日から筋トレを始めまして、ってこれどこかに書いたかな。よく記憶してないんですが、やはりこれだけ衰えの音が聞こえるような随所におかしみが発生している肉体ですと、なかなか加減がわからないのですな。おっさんの怪我のよくある例として、たとえば子供の運動会なんかで「若いころの肉体のイメージ」のまま動こうとして、でも肉体はぜんぜん言うことを聞かなくて、結果おもしろいところから足が地面に着地してしまったり、膝が砕けてしまってそのまま平原綾香の「惑星」のカバーなんかをBGMにゆっくりと地面に崩れ落ちていくような感じになってしまったりする、というのがあるらしいです。壮大だなおっさん。
 んでまあ、俺にも「これくらいは動くはず」みたいな思い込みってあったりするわけで、早い話、筋トレの強度みたいなのがうまく制御できないんですな。しかも運動するのがあまりにひさしぶりで、筋肉痛なんだかなんかやっちゃいけないことやって痛めたのかの判別がつかない。
 どっちにしろなんとなく疲労が蓄積してきたので、最近やたらに店舗を増やしている某マッサージとかのチェーンに行ってみたのです。
 しかし60分2980円(税抜き)。価格破壊にもほどがある。
 もっともこれ、価格破壊というよりは別の要素が強くあると思うのですよね。
 というのは、これあきらかに「埋もれていた需要」を掘り起こしたパターンだからです。だいたいにおいて現代人は目が疲れていたり腰が痛かったり陰茎が包茎だったりする。するんだよクソが。もっともヨーロッパだかどこだかの新石器時代の化石人骨からお灸のあとみたいなのが出てきたってのを聞いたことがありまして、そうすると肩こりとかそういうのは二足歩行にともなう運命的な宿痾的なアレなのかもしれませんが、まあともかく、現代人は疲れている。
 で、そこでマッサージとかの出番、になるかと思いきや、いままではそう簡単にはならなかったわけです。なぜなら肩をとんとんと叩きながら「おとうさん、だーいすき」と言ってくれる娘(血縁なし)がいて「将来はおとうさんのおよめさんになる!」とか力強く言っていて、養父の妻というエンディングを迎えるからです。そんな現実はどこにもねえよ。どうも疲れているせいか文章の制御すらできないようです。俺の文章は制御不能の暴れ馬だぜ(ぱんつ脱ぎながら)。
 なんでマッサージの出番にならないかと申しますに、以下のような要因が考えられます。

・なんか入りづらい
・そもそもどこにあんだよマッサージ屋
・駐車場ない
・予約しないとできない
・高え

 まあこんなとこでしょうか。
 なぜマッサージ業界がこのような状況に甘んじてきたかといえば、それはとうぜんながら、基本的に個人事業主が細々とやっている業態だったからであります。一人であるということは事業をおこなうにあたって基本的に高コストですので、必然的に料金も高くなります。また業界の標準的な価格みたいなのも「なんとなくあるかもしれない」程度であって、まちまちでした。
 で、この要素を払拭して成立したのが2980円(税抜き)(しつこいのは税込みだと思ってて3000円越えてびっくりしたからです)の例のチェーン店というわけです。
 からくりはもうひとつ。どこで見たんだか忘れたんですが、あれなかで働いてる人、基本的に個人事業主の扱いらしいんですよね。ということは福利厚生にかかる費用がない。そのぶん価格を下げられる。ですので、実際にはあれは銭湯とかで場所をマッサージ屋に貸して、そのぶんなんらかのマージンを取るのとシステム的にはあまり変わらないことになります。実際は知らんよ。わざわざ働いてる人を個人事業主のままにしておくなら、まあそういうことなんだろうなと思っただけ。
 でまあ、それはよいです。業態がなんであろうと俺は揉まれれば満足なのであります。あと深夜まで営業してるのは地味に嬉しいです。

 さて、マッサージに行きました。若い男性が俺の担当になりまして、んで、あそこ名乗りとかほんと丁寧なんですよね。あと「体どうなっても知らねえよ」みたいな免責の書面にサインさせられる。思わずマクシミリアン・おちんちんビローン3世とか書きたい気分になりましたが、大人なのでそういうことしません。
 で、顔面の部分に穴のあいた、なんかえろいことに転用できそうな例のベッドにうつ伏せに寝かせられまして、若い男性がおっさんのしどけない肉体をさわさわとするわけです。
「なんか、格闘技とかやってましたか? 柔道のような」
「いえ」
 やったことないです。というより運動しません。
「筋肉、すごいですよ。昔よほど体を追い込んだことがある人のような」
 十代後半から二十代にかけていちばん嗜んだものはたぶんエロ漫画だと思います。漫画ばんがいちの村田蓮爾の表紙は当時衝撃的だった記憶があります。
 まあそんなこんなで揉まれていき、1時間ほどが経過して終了となります。
 んで、俺は不安に思っていたことを聞きました。
「ストレッチとかやっぱりちゃんとやったほうがいいんですかね」
「いや、そんなものより運動です」
 おい兄ちゃん、さっきまでの慇懃な態度どこ行ったよ。
「それにしてもすごかった……」
 敬語も抜けてるぞ。俺の肉体どんだけひどかったんだよ。
「はあ、運動ですか……わかっちゃいるんですけどね……。この年になると、なかなか、あんまり体を動かすとどこか悪くしそうで」
「そんな心配はまったくありません。むしろそれだけの筋肉を持っていて、運動しないほうがよほどまずいです」
「そんなですか」
「そうですね。あと立ち仕事ということでしたので、やはりふくらはぎが相当にひどいので、ここだけは気をつけたほうがいいです」
「ああ、そうですね。よくつりそうになりますし」
「下にかかる圧力が強そうですからね」
 ああそうですね。この80キロ以上を誇る肉体が地球の重力に引き寄せられるときのこの負担感といったら……っておいちょっと待てよ。つまりそれ俺がデブってことかよ。そんな斬新な罵倒聞いたことねえよ。失礼にもほどがあるだろ。
 というような感じでした。
 まあ別に腹立ってるわけじゃなく、むしろそういう変なキャラの人はけっこう好きです。あと腕も若いわりにはずいぶんとよかったので、次回から指名しようと思っています。なんかあのチェーン、指名ランキングとかあるんですよね。そういえば別のベッドで揉まれてたおっさん、若い女性が担当で「恋愛ってのはさ」とか語ってたんですけど、あれも指名に結びつくんですかね。「私だったらそういう男にはついていかないな、もっと頼りがいがないと」「おう、まあなあ、俺の年になると頼りがいだけはあるぞ。金はねえけどな、ははは」「やだもぉ」などという会話をしており、俺の近くで地獄が出現していました。金ねえならおっさん価値ねえだろ自重して便所で懺悔して水洗でブルーレットの爽やかな青とともに脂ぎった欲望流してこい。
 これでもしようじょが背中に乗っかってくれるマッサージ屋とかあったら児童福祉法違反だけど5万くらい払うやつ出るよなあ、背中のうえでおもらししてくれるサービスがついたら10万のオーダーには乗るよなあとか思ったけどJK肩たたきとか実在してそうでいやな感じです。あとこのだいぶ前に秋葉原行ったときに耳かき専門店とかできてて、あれはいったいどういう料簡なんですかね。まあひざまくらしてくれたうえで耳かきしてくれて、耳元で「いたくない?」とか囁いてくれたりして、なんならうつぶせひざまくらで深呼吸とかいうオプションもつくとかそういうもんなんじゃないかなあと勝手に想像してるんですけど。ちょっと肉体由来のにおいとかまちがってしちゃって「くさいよ、姉ちゃん」とかいえば狩野蒼穹のいっちょあがりです。とても好きなエロ漫画家のひとりです。