ふと思いたって小松左京の「日本アパッチ族」を読んでおります。Kindle便利やなあ。
 小松左京は小学生のころにもっともよく読んだ作家だと思います。ただなんでだか知らんけど、日本SFってやつは中学校いっぱいくらいで読まなくなってしまったのですな。それきり30年からが経過してるわけです。このあいだの角川のセールのときに、山田正紀が安くなってるの見てふと思いたって買ってみて、いつかは小松左京にも手をつけようと思ってたんで。
 半分くらい読みましたが、政治や社会状況の説明がくどいのが、まあ時代なんだろうなあと思いますけど、物語としてのおもしろさは2015年の現在に読んでも圧巻です。発想が奇抜で、展開に無駄がなく、キャラが魅力的。で、これSFというよりはもうちょい別のジャンルの小説だとは思うんですが、当時の科学に関する知識を駆使して作っただろう設定の部分は、やっぱり現在に読むと底が割れます。自分が小学生だった当時はその部分も楽しかったはずなんですが。
 で、この作品の2015年現在における魅力と申しますと、大阪のしょうもないおっちゃんたちの活写でしょうね。生粋のコテコテの大阪弁で展開される漫才めいた会話。小松左京って確か漫才の台本なんかもやってたような記憶があるんですが、その雰囲気が出てます。大阪の学のない、だけどしたたかでたくましいおっちゃん、たぶんこういう人種は現在もいるのでしょうけど、そのおっちゃんたちを活躍させる背景が難しい。戦争の焼け跡の雰囲気、無秩序なところで躍動するおっちゃんたち、こういう雰囲気そのものがこの小説の最大の魅力かと思います。
 アマゾンのレビューなんか見てみると、この小説をして小松左京の最高傑作という人もいるくらいですが、その人以外書き得ないという意味では、まあそうかもしんないですね。
 とにかくおもしろいです。はい。