「ヘタレ姉」1巻から3巻まで読了。
 おねえちゃんすごい。
 もともと姉好きの素養はあった気がするんですよ。かなめもの代理に母性を見出そうとするあたりとか、よく考えると相当におかしいので(別におかしくない気もするけど)。母性という言葉そのものにアレルギーがありすぎて、自分の趣味嗜好に気がつかなかっただけなのかもしれません。
 なおおねえちゃんは巨乳なのですが、以前から言っているとおり、俺は特に巨乳であることに固有のアレルギーを持っているわけではありません。金髪ロングに異常な弱点がある以外は、髪型にとりたてて執着がないのと同様、おっぱいにも特段の意味を見出していないというだけの話で、この点、明確に巨乳にアレルギーを持つあんよさんとはだいぶ違います。ついでにいうとちっさい子も好きなので、ちっさい子はぺったんこだよなあ、それはよいものだよなあと思う程度のものです。
 この作品でもおねえちゃんは隠れ巨乳という扱いなのですが、おっぱいフィーチャリング機能がかなり弱いので、特に意識することもなく読めています。あとなによりも絵そのものの問題ですね。クロシェット的なアレがアレなのは、巨乳だからということではなく、あの特異に重力その他を無視して「ここに力点がございますぞ、ここがおっぱいですぞ、ほらドーン」みたいなあの姿勢そのものが無理なのです。その点、おねえちゃんのおっぱいは重力の存在と、なにより質量感が明確であり、具体的には生々しいってことですけど、そういう描写なら「ああ、おねえちゃんはやわらかいんだなあ」という静かな納得が暁の空から降りそめた雪のように舞い降りてくるのでございます。

 兄妹ものっつーかとにかくそれ系の4コマとしての評価は、俺の場合「距離感」に尽きます。これサガさんも似たようなこと言ってますが「ひとつ屋根の下感」ですね。それでいうと俺の場合「兄妹はじめました」を持って最強とするわけですが、この作品でもそこそこいいとこ行ってます。
「兄妹はじめました」の場合は「たいへんだ、同じ家に妹いたらかわいいに決まってるし俺もすごいセックスしたくなるだろうなあ」という着眼点からの妹に愛欲が吸い取られる感じがすごかったのですが、この作品の場合、まずダイレクトにおねえちゃんかわいいです。もうかわいいことだけがしごとです。妹のしごとも往々にしてかわいいことなのですが、妹は最初から庇護下にあるというその設定と「かわいい」の要素を切り離すことが難しい。「妹が」「ツンデレ」「だから」「かわいい」というような、まず妹という存在ありきの部分がけっこうあるんじゃないかと思うのです。いってしまえばツンデレだろうが素クールだろうがヤンデレだろうが「妹が」そうであることによって増幅される部分がかなりある。これが「かわいいだけがしごと」的なキャラだった場合、そのままで「妹系キャラ」と認識されてしまい、つまりベタ以外のなんの意味も持たない場合があります(もちろんそのへんの演出は作者の力量にもよる)。
 しかしおねえちゃんはそうではないです。おねえちゃんはかわいいだけがしごとでもすごいのです。なぜなら姉というのは本来的には弟に対してなんらかの点において優越した存在だからです。支配でも猫かわいがりでもいいですが、姉ならではの属性というのが存在するはずです。しかしこの真夏おねえちゃんはかわいいだけです。本当にかわいい以外になにもできません。弟に依存しっぱなしです。おねえちゃんなのに! おねえちゃんなのに! すごい!
 この「おねえちゃんなのに」は、ある意味で「こんなにかわいいのにちんこついてる」のと同質の異化効果があると思います。まあ男の子の場合はちんこあるのが最優先でかわいいの要素はおまけなんですが(原理主義者)、一般的な把握としては「こんなにかわいいのに、俺についてるのと同じいやらしいちんこがついてるんだね……」というのが男の子、ないし男の娘的な要素が持つ異化効果だと思うのです。欲望の回路がちんこを通じてかわいい男の子に流入するっていうかね……。

 なお4コマとしては、基本的にはおもしろいです。作者がもともとギャグ要素強めの人らしく、暴走するときはかなり暴走します。そのへんは好き嫌い分かれるかもしれません。
 あと作者は読者(この場合俺ですが)の欲望のツボみたいなのを実によくわかってると思います。おねえちゃんがこんなことしたらすごいかわいいなあとか、小学生の女の子出てきて求婚したらすごいかわいいなあとか、男の子登場したらおにいちゃん大好きだよなあとか、そういう「こうであってほしい」があまさず実現されているので、その点も俺みたいな豚にはありがたいのですが、やはり好き嫌いは分かれるでしょうね。
 とにかく俺は、おねえちゃんがいかにして弟に依存するようになったのか、その転換点を知りたくてしょうがないです。小さいころはどうやったって年齢差ってのあって、姉のほうが保護者だったはずなんですよ。どこかでそれが逆転しておねえちゃん弟いないとなんにもできなくなった。それは身長で追い越された瞬間かもしれないし、なにか決定的なエピソードがあってそうなったのかもしれない。おねえちゃんが「あ、頼ってもいいのかな」と思ったその瞬間ですよね。保護者としての立場が崩れて「えへへー」みたいになって甘えた瞬間。その瞬間がセックスだと思うんですよ俺は。おねえちゃんなのに、おねえちゃんであることを捨ててしまって、ただ甘えるだけのかわいいものになっちゃった。「なっちゃっていいんだ」という自分に対する許しこそが至福だと思うのです。
 おねえちゃんすごいです。このおねえちゃんなら母乳飲めます。